2018/2019をまたぐお正月休みにエジプトとチュニジアへ旅行してきました。どちらも、各地に世界遺産が山のようにある遺跡大国ですが、その中でもハイライトと言えるルクソール西岸の見所と、おすすめの回り方について記事にしたいと思います。
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王家の谷、ハトシェプスト女王葬祭殿など見どころばかりのルクソール西岸。「古代都市テーベとその墓地遺跡」として世界遺産にも登録されています。効率的に、なおかつ王家の谷でナイルクルーズなど団体ツアーの混雑を避けて見る方法をお伝えします。
目次
- ルクソール西岸観光のおすすめはタクシーを1日チャーター
- 王妃の谷ネフェルタリの墓を朝一で、王家の谷を最後に観光
- ルクソール観光でのタクシーのチャーター方法と価格
- ルクソール西岸の治安
- ルクソール西岸世界遺産の入り口に立つメムノンの巨像(アメンホテプ3世像)
- ルクソール世界遺産いきなりのハイライト 王妃の谷ネフェルタリの墓(QV66)
- 王家の谷、王妃の谷、ハトシェプスト葬祭殿以外のチケットを購入する
- ディル・エル・メディーナ(職人/労働者の谷)
- ツタンカーメンの墓を発掘したハワード・カーター・ハウス
- エジプト・ルクソール西岸でのランチやカフェ、レストラン
- セティ1世葬祭殿
- ラメセウム(ラムセス2世葬祭殿)
- ルクソール西岸ではもっとも保存状態が良いラムセス3世葬祭殿(メディネト・ハブ)
- ハトシェプスト葬祭殿
- エジプト観光・ルクソール世界遺産最大の見どころ 王家の谷
- まとめ ルクソールは見所ばかりのエジプト世界遺産のハイライト
ルクソール西岸観光のおすすめはタクシーを1日チャーター
結論から言うと、一番のおすすめの観光方法は、ルクソール西岸に一日を割き、タクシーもしくは車をチャーターすることです。わたしは朝7時から約11時間ほどタクシーをチャーターして回りましたが、それでもすべての遺跡が見れたわけではありません。具体的には以下の順で、9箇所を見ました。
- メムノンの巨像
- 王妃の谷(ネフェルタリの墓)
- ディル・エル・メディーナ(職人の谷)
- ランチ
- カーターハウス
- セティ1世葬祭殿
- ラメセウム(ラムセス2世葬祭殿)
- メディネト・ハブ(ラムセス3世葬祭殿)
- ハトシェプスト葬祭殿
- 王家の谷
地図で表すと次のようになります。
ルクソール西岸には、とにかく膨大な数の遺跡があるので、これでもすべてを訪れたわけではありません。それでも、せっかく遠いエジプトまで行くのですから、半日で済ませるのはあまりにもったいないと思います。
ルクソール〜アスワンのナイル川クルーズ等のツアーは半日観光になりがち
ルクソールと、これもまた世界遺産であるアブシンベル大神殿やイシス神殿を擁するアスワンはナイル川で結ばれています。そのナイルを2泊3日ほどかけて下る(あるいは上る)ナイルク川ルーズは、大人気です。せっかくエジプトに来たのだから、とても素敵なプランだと思います。
▲世界遺産が生まれるきっかけとなったアブ・シンベル大神殿
わたしも最初はナイル川クルーズにしようかと思ったのですが、船のスケジュールもありますので、どうしても他の乗船客と一緒に観光名所を見て回るツアーとなり、ほとんどのケースでルクソール西岸を午前、東岸を午後と、半日ごとにまわる慌ただしい日程になってしまいます。西岸ではメムノンの巨像、ハトシェプスト葬祭殿、王家の谷しか回らないことが多いです。
東岸はルクソール神殿・カルナック神殿以外にもデンデラ神殿など見所あり
ルクソールの東岸でも、ルクソール神殿とカルナック神殿、博物館などたっぷりと見たかったですし、また、近郊にあるデンデラ神殿も行ってみたかったので、自由行動が取れる個人旅行にしました。
▲エジプトに残る遺跡でも有数の保存状態を誇るデンデラのハトホル神殿
また、ほとんどの団体ツアーが午前中にメムノン巨像→ハトシェプスト葬祭殿→王家の谷と、ほぼ同じ行程で遺跡を回るため、それを避ければ、混雑具合が大いに変わってきます。
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王妃の谷ネフェルタリの墓を朝一で、王家の谷を最後に観光
王妃の谷ネフェルタリの墓は150人までの制限あり+特別入場料
ルクソール西岸を回る順番を決める際に鍵となるのは、王妃の谷にあるネフェルタリの墓と、王家の谷です。まずネフェルタリの墓には、以下の制限があります。
- 一日に150人までしか入場できない
- 特別入場チケットが必要
人体が放つ熱や湿気が遺跡の保存によいわけはありません。ネフェルタリの墓は、一日に150人までしか入ることができません。世界中から山のように観光客の訪れるルクソールで、わずか150人です。
ネフェルタリのチケットを確保するために、朝一番でまず王妃の谷の観光をすませましょう。
王家の谷観光は最後に残すのがおすすめ
先ほども触れましたが、一般的なツアーでは、午前中に王家の谷へ向かいます。大量の大型バスが並び、午前中は大変混雑します。王墓は非常に狭いので、その混雑は想像以上と思います。午後の遅い時間になるほど人が減り、夕方にはかなりまばらになるので、最後に残すのがおすすめです。
引用元:Wikipedia
これは入り口付近の午前中の様子。奥の方までみっしりと人がいます。
わたしが王家の谷に着いたときに撮影した、ほぼ同じ場所を逆方向から撮った一枚です。エジプト観光のベストシーズンと言える日でも、午後に行けばこれだけの余裕があります。
訪れた全ての墓で、一人きりの時間を持つことができました。各王墓は入場制限も発生するほど極めて狭いですから、まったく異なる体験になると思います。
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ナイル川クルーズを利用する場合はどうするか
「そうはいってもナイル川クルーズにも乗ってみたい」という方も多いかと思います。ナイル川クルーズはかなり融通が聞くので、ルクソール観光が含まれていないプランを探すか、交渉してみましょう。
完全なパック・ツアーだと難しいかもしれませんが、ナイル川クルーズにも様々なオプションが設定されていますから、臨機応変に対応してくれると思います。
ルクソール観光でのタクシーのチャーター方法と価格
わたしはホテル周辺にいたドライバーと交渉して、タクシーをチャーターしました。タクシーはホテルが多いルクソール東岸なら、いくらでもいます。
タクシーをチャーターする場合には東岸で雇って乗り込み橋でナイル川を渡るか、船で西岸へ渡り、そこでタクシーを探すかの二択になります。朝から観光に行くことを考えると、前日に交渉をまとめておいたほうが良いかと思います。となると東岸で探した方が良いでしょう。
価格ですが、わたしのケースでは7〜18時の一日チャーターで35USドルでした。西岸内で移動距離がほとんどありませんから、意外と安いです。オフシーズンならもっと下がるでしょう。交渉する際には以下の点に注意しましょう。
- 開始時刻
- 終了時刻
- 行きたい箇所(マップに色でも付けておくと良いかと思います)
- 冬季以外はエアコンの有無
ただしエジプトは定価というものがなく、観光業の落ち込みもあって、ドライバーもなかなか必死です。交渉するのはストレスがかかる面も否定できません。
エジプトはイギリス領だったので英語はそれなりに通じますが、交渉が面倒な人や語学に自信がないという方は、旅行会社を通して車をチャーターするのが良いでしょう。オンラインで手配できる会社もあります。旅行会社などで事前にチャーターする場合、正月期のハイシーズンだと一日15,000円程度かなと思います。
レンタサイクル(自転車)は…?
西岸を自転車でまわることも可能です。が、相当しんどいと思います。坂道もありますし、まず冬季以外は暑さが尋常ではなく、砂埃もすごいです。時間や体力があり予算に乏しい学生さんなんかは良いかもしれません。が、35ドルでタクシーを一日チャーターできることを思えば、あまりおすすめはしません(笑)。
ルクソール西岸の治安
遺跡か観光客向けの店しかなく、非常に厳重な警備体制が敷かれていました。主要道路や各遺跡の入り口には等間隔でものものしい軍・警察の検問所があり、なんとしても治安を守るという決意が見えました。
各ホテルやその他施設でも空港と同様のセキュリティチェックがあり、ルクソール西岸では危険を感じるようなことはなかったです。タクシーも検問所を通るたびに身元とライセンスを確認されるため、その点では、悪質なドライバー対策にもなるのでむしろ安心感がありました。
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ルクソール西岸世界遺産の入り口に立つメムノンの巨像(アメンホテプ3世像)
「まず朝一で王妃の谷から行くべき」と書きましたが、メムノン像は西岸の入り口に位置するため、東岸から向かうと必ず通過するポイント。2体の像しかないので、見るのはあっという間です。王妃の谷へ向かう前に立ち寄ってもよいでしょう。チケットもいりません。
実はこの2像の後ろには、ルクソール西岸でも最大規模の葬祭殿があったのですが、主に地震によって倒壊してしまいました。
朝の早い時間なら、このように、いくつもあがる熱気球をバックに写真を取ることができます。わたしも翌日に気球に乗りました。気球に乗りたければ、ホテルでも運転手に言っても、手配はしてくれるでしょう。ネットからも可能です。わたしの場合70USドルでした。ネットでの価格はこの時期、12,000円くらいですね。
奥に見えているのはハトシェプスト葬祭殿です。気球に乗ったのは1月1日。初日の出を拝むことができました。
ルクソール世界遺産いきなりのハイライト 王妃の谷ネフェルタリの墓(QV66)
ネフェルタリの墓の限定150人のチケットを買うため、王妃の谷へ急ぎます。
無事にゲット! 王妃の谷への入場料金とはまた別に特別入場料が必要です。
- 王妃の谷入場料・・・100エジプト・ポンド(600円)
- ネフェルタリの墓・・・1,200エジプト・ポンド(7,200円)
7,000円! 今までに訪れた世界中の遺跡で、一番高価ではないかと思います(笑)。洋楽ライブ一回分です。なおかつ、写真撮影禁止です。しかも10分間の制限付きです。実際は、朝一で行ったおかげか、人も少なくて20分ほど見て回ることができましたけれど。
この狭い入り口を通り、墓へ降りて行くのですが……その下にあった壁画は、どれだけおすすめしてもしきれないくらい素晴らしいものでした。
ルクソール西岸の遺跡が固まる一帯は、どこへ行っても、上の写真のような、砂まみれの茶色い大地で覆われています。ネフェルタリの墓の内部に入った瞬間、あざやかな色の洪水が目に入り、外との落差と色の濃密さに、ぐらりと目眩がするほどでした。
王家の谷やルクソール神殿、ツタンカーメンなど様々な見どころがありますが、こと壁画に関しては、ネフェルタリの墓が突出していました。数多くの世界遺産や美術館・博物館を訪れていますが、ネフェルタリ墓はもっとも鮮烈な体験のひとつとして記憶に刻まれました。
写真撮影が禁止で、この墓だけカメラも預けて入らなければいけなかったのですが、墓の中にいる監視係というか案内人が、「スマホなら一枚だけ撮れ撮れ」言うので、撮らせてもらいました。これが3,000年前の色ですよ? ヒエログリフも他の墓とは明らかにクオリティや厚みが違います。
王家の谷など他の場所でも、そのように墓の案内人が声をかけてくることは多かったです。個人旅行だったからかも知れません。まぁ、そのあと「チップくれ」と言われるんですが(笑)。
ネフェルタリの墓内部を復元した動画がありました。とてもよく再現されていると思います。
遺跡を守るために人数制限をし、高額の入場料を取るのは良い方針だと思います。せっかくルクソールに行ったのなら、絶対に見るべきです。遠い日本から長い間飛行機に乗って、遠路はるばるとアフリカのエジプトまで訪れたのなら、ここで7,000円程度節約してなんの意味があるでしょう?
エジプトまでの足としては、わたしの場合、ANAマイルを使ったビジネスクラス特典航空券を使いデュッセルドルフ・イスタンブール経由でカイロまで飛びました。ANAならスターアライアンスのエジプト航空も利用できるので、便利です。
▲デュッセルドルフまで乗ったANAビジネスクラス
JALマイルを利用するなら、エミレーツ航空でドバイを経由するのもよいと思います。ANAもJALも年間20万マイル程度ならほとんど費用をかけなくても貯まるので、ぜひ利用されてみてはいかがでしょうか。
ビジネスクラスやファーストクラスに一年目から乗るのも決して無理な話ではありません。わたしが100以上もの世界遺産を回れることができたのはマイルのおかげと言えます。
マイルの貯め方については、それぞれ次の記事に詳しいです。ぜひ参考にしてみてください。
大量JALマイルを貯める方法! 初心者必見のJALマイルの貯め方と陸マイラー的裏技! ANAマイルの貯め方①100万マイルを貯めて48ヶ国を旅した方法王妃の谷その他の墓の見所
王妃の谷の通常チケットでは、3つの墓を見ることができます。わたしが訪れた時には、3つしか公開していなかったので選択の余地はありませんでした。
王妃の谷とは言いつつ、こちらはラムセス3世の息子アメン・コプシュフの墓です。ハイタッチするファラオとアヌビス神。
ネフェルタリの鮮烈な印象のあとではどうしても地味な感じを受けてしまいますが。
猫の神バステトか、ライオンの神セクメトでしょうか。
ガラスで保護されている墓は王家の谷でも珍しかったように思います。それだけ劣化しやすい状態なのでしょう。
王家の谷、王妃の谷、ハトシェプスト葬祭殿以外のチケットを購入する
ネフェルタリの墓以外は人数制限はないので、あとは王家の谷を最後にして、自由な順番で回ればよいかと思います。ハトシェプスト葬祭神殿も、午前はツアー客が多いので午後にしたほうが良いでしょう。
▲各遺跡のチケット。右下の一枚は王家の谷のカメラチケット
王妃の谷、王家の谷、ハトシェプスト葬祭神殿に関しては、それぞれの入り口でチケットを購入します。それ以外の遺跡は、すべて一括してチケットを購入します。メムノンの巨像を王妃の谷方面に進んだところにチケット売り場があります。
わたしは訪れた5箇所のチケットに加えて、さらに貴族の谷のチケットも買おうとしたのですが、窓口のおっちゃんに「そんなに見切れないぞ」と止められてしまいました。一日終わって見れば、たしかにその通りだったなと思います。
結局貴族の谷は見ることはなかったのですが、職人の谷(ディル・エル・メディーナ)か貴族の谷どちらか選ぶか、セティ1世葬祭殿かカーターハウスを一つ減らして、職人と貴族の谷両方を見るのが良いかと思います。まぁ急げば全部回れないことはないとは思いますけど。
注意! 入場料の支払いはカード不可、現金のみ。ATMも少ない
各遺跡の入場チケットの支払いにクレジットカードは使えません。ATMも西岸でいくつかしかなく、上の写真のように行列ができていましたので、とくに特別拝観料を取る墓を見たい方は、多めに現金を持っていきましょう。
海外旅行はじめて講座 お金は現金両替よりクレジットカードがお勧め!トート
ディル・エル・メディーナ(職人/労働者の谷)
ディル・エル・メディーナは、王家の墓や遺跡を造るために働いた人々が住んでいた跡と、小さな神殿、そして墓があります。王家と比べると名前負けしますが、より当時の一般庶民の生活に根ざした壁画が見れておもしろかったです。
職人ということで、ジャッカルの頭を持つ冥界の神アヌビスが、せっせとミイラ作りに精を出しています。とてもカラフルだし、生き生きとしていますよね。またアヌビスの表情が良いではないですか。
こちらでもやる気を見せるアヌビス神。手にしているのは、遺体の鼻から脳みそを引きずり出したという引っ掻き棒でしょうか? なんだかマンガチックな表現の墓で、とても印象に残りました。
ちなみに墓内部の高さはこれくらいです。また服装を見ていただくと、エジプトとはいえ薄いダウンを着てもいいくらい、冬の朝晩は冷えます。羽織るものをお忘れなく。墓の中は照明のせいかかなり暖かいですけどね。
ディエル・エル・メディナの奥に行くと、小さな神殿があります。職人たちが通て祈りを捧げていたのかもしれません。意外にもかなり発色が良い壁画が残っています。
地元の方が筆を持っているのでなにをしているのかと思えば、水で遺跡や壁画の表面を綺麗にしているところでした。こうした作業はその他の遺跡でもたまに見かけました。
ツタンカーメンの墓を発掘したハワード・カーター・ハウス
王家の谷で唯一盗掘をまぬがれ、世紀の大発見となったツタンカーメンの話は、どなたもご存知かと思います。それを発掘したのがイギリス人のハワード・カーター。彼がルクソール一帯を発掘していた頃に住んでいたのが、この家です。
このあとカーターハウスの案内人に奥の椅子に座らされ、無理やりカーター風の帽子をかぶった写真を撮られました。恥ずかしい。
このような資料の他に、発掘道具や写真を現像した暗室などがあります。
当時の面影を残す家財や発掘道具もそれなりに興味深いですが、カーターハウスの見どころは何と言ってもツタンカーメン王墓の中を再現したレプリカ部屋です。王家の谷にある実際の王墓では写真撮影禁止ですが、ここならいくら撮っても大丈夫です。
王家の谷にある本物のツタンカーメンの墓には少年王のミイラと黄金の棺が眠っていますが、それはこのレプリカ内にはありません。
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エジプト・ルクソール西岸でのランチやカフェ、レストラン
この辺でランチに行っても良いでしょう。西岸には観光客向けのレストランやカフェが点在しているので、ドライバーに言えば連れて行ってもらえます。
わたしの場合は、街中でチャーターしたタクシーだったので、かなりローカル色の強い青空食堂?に連れて行かれ、衛生状態が気になりつつ、ドライバーと一緒に食べました(笑)。この辺も気になるようならちゃんと希望を言えば、観光客向けのレストランに寄ってもらえるはずです。
青空食堂のお客さん。水タバコ(シーシャ)を吸っている姿はよく見かけました。試したことはあるのですが、甘すぎる香りで気持ち悪くなってしまいました。もともとタバコを吸わないからかもしれませんが。
セティ1世葬祭殿
セティ1世の葬祭殿というと、アビドスにも見事な遺跡が残っており、ウェブ上ではそちらと混同している記事などもありますが、別物です。ルクソールの遺跡のなかでは、どちらかといえば地味な方かもしれません。
残念ながらそれほど時間がない、という場合、遺跡の中では飛ばす第一候補になるかなと思います。
とはいえレリーフなどよく残ってはいるんですけどね。その他の遺跡がハイレベルすぎるので……はい。しかし後ほど触れる王家の谷にあるセティ1世の墓は大変に素晴らしいものでした。
ラメセウム(ラムセス2世葬祭殿)
ラメセウムを造ったラムセス2世は「建築王」の名を残すほどで、エジプトの各地に神殿を築きました。記事の最初に写真を貼った、アスワン方面にあるアブシンベル神殿がもっとも有名ですね。
そんなラムセス2世が造ったラメセウム、ルクソール西岸でも最大規模の遺跡です。しかも一般的なツアーではあまり来ない場所なので、その分、ゆったりと観光できてよかったです。
レリーフ。オリーブの木でしょうかね。
全体的に保存状態がよく、まだ発掘作業が進められていました。奥の方にハトシェプスト葬祭殿が見えています。死者の谷、彼岸と呼ばれる砂まみれの西岸の様子がよくわかりますね。
ラムセウスの巨石柱廊。あまり色はありませんが、どっしりとした柱がよく残っています。
ルクソール西岸ではもっとも保存状態が良いラムセス3世葬祭殿(メディネト・ハブ)
そんなラメセウムに倣って造られたのが、ラムセス3世葬祭殿、メディネト・ハブです。こちらもルクソール西岸では特におすすめしたい遺跡です。
海の民との戦いを描いたレリーフや彩色がとてもよく残っています。ルクソール東岸にあるルクソール神殿やカルナック神殿の方が規模は大きいですが、レリーフの色はあまり残っていないので、ここで往時の姿を想像して堪能しましょう。
柱廊の彩色もよく残っており、個人的にはハトシェプスト葬祭殿よりもずっと面白いと思いました。好きな遺跡です。
それにしても、あらためて数千年前のものとは思えません。
ハトシェプスト葬祭殿
ハトシェプストはエジプトとしてはめずらしい女性のファラオです。しかし顎鬚をつけるなど、男性に見えるように腐心していたそうで、現在残っている像やレリーフも男性の姿で描かれています。
葬祭殿までは入り口から400メートルくらい離れています。片道2エジプト・ポンド(12円)で乗れるミニトレインが走っています。十分に歩ける距離ですが、安いし乗っちゃってよいかと思います。暑い夏のシーズンは絶対乗ったほうがいいですね。
王家の谷と並んでハトシェプスト葬祭殿はほぼ必ず団体ツアーの日程に入っているので、こちらも可能であれば、午後から行くのがよいかと思います。
エジプト観光・ルクソール世界遺産最大の見どころ 王家の谷
エジプトといえばピラミッドのイメージが強いですよね。わたしも以前カイロで見て、その存在感には圧倒されました。詳しくは次の記事に書いています。
世界遺産100カ所旅行した私が選ぶ!遺跡〜絶景までお勧めランキングしかし今回ルクソールやカルナック神殿、アブシンベル神殿なども巡った上で、エジプト観光で最大のハイライトは、ここ王家の谷だなと思いました。黄土色の乾燥した土煙が舞う谷の地下に、あれほど鮮やかで濃密な壁画があるなんて。
王家の谷の入場料
まずはデータから。入場料とカメラ代は下記の通りです。
- 王家の谷通常入場料(3墓有効)・・・200エジプト・ポンド(1,200円)
- 写真撮影代(3墓有効)・・・300エジプト・ポンド(1,800円)
入場チケットよりカメラ代の方が高いという(笑)。通常の入場チケットでは、公開されている王墓のうち、3つまで選んで入ることができます。わたしが行ったときには特別王墓以外に8箇所が公開されていましたが、どれが公開されるかは日によって変わります。
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ツタンカーメン・ラムセス6世・セティ1世の墓は特別料金
通常のチケットとは別に、次の3つの墓は特別料金がかかります。
- ツタンカーメン王墓・・・250エジプト・ポンド(1,350円)
- ラムセス6世王墓・・・100エジプト・ポンド(600円)
- セティ1世王墓・・・1,000エジプト・ポンド(6,000円)
なかでももっとも高価なセティ1世王墓は6,000円以上です。しかし断言しますが、三つとも、その価値は十分にあります。ルクソールまで来て1万円も満たない額を節約する意味はありません。悪いことは言いません。3つとも、ぜひ入りましょう。
最も有名なファラオ・ツタンカーメン王の墓(KV62)
史上もっとも有名なファラオ、トゥト・アンク・アムンことツタンカーメンの墓。実際は、ファラオの墓とは思えないほどかなり小さなものです。内部の撮影は禁止です。
王家の谷にあるいくつかの王墓には、棺桶が安置されていますが、そこにミイラはありません。しかしツタンカーメンの王墓には唯一、墓の主であるツタンカーメンのミイラがいまだに眠っており、その顔を見ることができます。
ラムセス5/6世王墓(KV9)
ラムセス6世の王墓はラムセス5世の墓を拡張して造られたものです。非常にきらびやかな壁画が残っており、エジプト神話や王の絶対的な力があざやかに描かれていて、実に見ごたえがあります。
王墓を進んだ最奥部には棺桶が据えられています。なんとミステリアスな光景でしょうか。
ヒエログリフも鮮やか!
ツタンカーメン、セティ1世王墓のふたつは原則写真撮影が禁止ですが、ラムセス6世王墓では、カメラチケットを持っていれば、撮影可能なのも嬉しい点です。正々堂々、ここぞとばかりにバシバシ撮影しましょう。
王家の谷での写真撮影について
幸運にも、セティ1世王墓など撮影禁止の墓でも撮らせてもらえる機会がありました。しかし自分から要求することはせず、墓の案内人に「撮ったら?」と声をかけられてから初めて撮影しました。その後チップは要求されることが多いですけどね。
王墓内には、監視カメラが設置されているところもあります。許可を得ずに撮影して「カメラの映像を確認させろ!」と怒鳴られている人もいたので、必ず墓の案内人の許可を得てから写真を撮りましょう。
案内人の中にはめちゃくちゃのりのりで、立ち入り禁止の枠を乗り越えて、そっち側でポーズ取れよ!なんてそそのかしてくる人もいました(笑)。まぁこれも遅い時間に行って、他に観光客がほぼいなかったからだと思います。
セティ1世王墓(KV17)
もっとも高い特別入場料を取る特別王墓・セティ1世の墓。6,000円ですがその価値はあります。王家の谷では最長の墓であり、その奥行き、実に137メートルに達します。玄室も100以上あるそうです。途中には墓泥棒を始末するトラップとしか思えない、底の深い玄室に渡された通路を通ったりもします。気分はまさにインディ・ジョーンズといった感じです。
その長いトンネルを下って行くと、現れるのは……
息を飲むとはまさにこのこと。素晴らしいですね。ネフェルタリの墓とはまた違い、重厚あるいは荘厳な趣があり、ぜひご覧になっていただきたいです。むしろエジプトまで行って入らない理由がわかりません。
ここも本来は写真禁止なのですが、案内人は「どんどん撮りなよ。でも出るまで他の観光客には言うなよ? あそこに監視カメラもあるからな?」という陽気なおじさんでした(笑)。どこを撮っていいのかよくないのか、わからなくなります。
一部にネフェルタリと同様、セティ1世の墓も150名限定という話がありますが、夕方訪れたのにまだ入れましたし、人数制限はないのではないかと思います。実際に墓の中で案内人に「今日は何人くらい来たんですか?」とたずねたら「君で200人目くらいだな」という返答でした。
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3つの特別王墓に関しては、さらに詳しい解説記事を書きました!
エジプト旅行記【世界遺産 王家の谷】ツタンカーメン王墓は絶対お勧め! セティ1世/ラムセス6世王墓の見所と行き方王家の谷・その他の王墓
通常のチケットでは3ヶ所の王墓を鑑賞できます。わたしの場合、閉谷(?)間近で人もまばらだったためか、4つめに案内人が連れて行ってくれました(もちろんチップは要求されましたけどね)。
タァウセルト/セトナクトの墓(KV14)
ここはふたりのファラオの名前がある通り、最初のファラオの墓を乗っ取ってしまったと言うもの。そんなことしていいんでしょうか。
大きな石棺と、彩色もよく残っており、おすすめしたい王墓です。また入り口からは一番遠いエリアなので人も少ないと思います。
セティ2世の王墓(KV15)
ここはKV14のおまけで入れてくれたところですが、ちょっと地味でした。柱にあるのは創造神プタハか冥界の神オシリスだと思います。
フンコロガシの神様ケプリ。
メルエンプタハの王墓(KV8)
かつては4つのサルコファガス(石棺)が据えられていたという王墓。石棺が今でも二つ据えられているのは面白いですが、壁画と言う意味ではそれほど見所はないという印象です。
ラムセス4世の王墓(KV2)
ここは通常チケットの中では特におすすめしたい王墓です。白く塗られた壁に、きらびやかで素晴らしい壁画と石棺が残っています。
美しいヒエログリフ。動物の顔の向きで読む方向がわかるという面白い仕組みだそうです。
ヒエログリフといえば、事前に読んだ本のご紹介ですが、古代エジプト語の研究者の手によるエジプトの歴史「古代エジプト 失われた世界の解読」がなかなかよくまとまっており、おすすめです。
カルトゥーシュ(枠で囲まれたヒエログリフ)にはファラオや神様の名前が描かれています。美しい部屋です。見とれてしまいます。
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まとめ ルクソールは見所ばかりのエジプト世界遺産のハイライト
実に5,000年の歴史を誇るエジプト。いわゆる古代エジプトは、ローマ帝国が台頭するまで3,000年にわたって栄華を極め、このような遺跡群と、魅力あふれるエジプト神話を残してくれました。どうしてもピラミッドに目が行きがちですが、個人的にはルクソール西岸の方が、エジプト観光の最大の見所だと感じました。
遠いエジプトですが、エジプト航空を使ったり、ヨーロッパや中東を経由すれば意外と行きやすいものです。また文中でもご紹介したANA/JALマイルの使い先としてもおすすめです。ぜひ古代ロマンそのものと言えるルクソール西側の遺跡と王墓群を楽しんでください。トート(Twitter)でした!
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